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Nostrasia 2025 感想

2025-12-07
Abstract
Nostrasia 2025 に参加しての感想です

今年も Nostrasia に運営サイド・登壇者両方として参加させて頂きました。

登壇イベントでは、Nostr の署名に関わるちょっとしたネタを話す機会を頂きました。いちおう話の筋立てとスライドは作ったのですが・・・PoCが不十分だったりと反省の多いものでした。

運営も同様で、私の動きは不十分な点が多く、皆さんに心配かけたかもしれません。

そして本稿の最後で、こういったイベントについて思うところを少しだけ述べたいと思います。

謝辞

まず、スポンサーして頂いた全力機械さん、日本ビットコイン産業株式会社さん、あんずさん、しのさんに感謝致します。普段、スポンサーさんのいるイベントに関わらせて頂く機会が無いもので、得難い経験ができて有り難いです。

また、私の拙い登壇を許容頂いたこと大変感謝しております。準備にかける時間がとれず、やっぱり辞退しようかな・・・と思ったこと一度や二度ではなかったのですが、登壇出来て良かったです。と同時に不十分な準備で発表してしまったことについては申し訳なく思っており、これからフォローアップしたいと考えています。

謝辞から逸脱して恐縮ですが、Nostrasia は、運営・登壇どちらも敷居は高くない(ように発起人が気を配ってくれている!)のですが、その割に、参加すればいろんなことが経験出来て、とても楽しいです。

次回、また多くの人がオンボードして、楽しく学ぶことができたらいいな・・・と思っています。

みなさんありがとうございました。

登壇

Proof of multiple key ownership with MuSig-like key aggregation (MuSigライクな鍵集約による複数キーの所有証明)というかなり固い題目にて登壇をさせて頂きました。

この発表の主張は「Bitcoin等の分野で用いられているマルチシグ「MuSig」で用いられている鍵集約方法を使うことで、複数の秘密鍵を特定の個人が所有していることの協力な証拠を作れる」というものでした。これは、将来、秘密鍵の移行をやりやすくすることを狙ったものです。

アイディアは単純です。一人で複数鍵を所有している場合、マルチシグ(MuSig2)に基づいた署名を一人で作り、それを kind0 イベントとしてリレーに保存すれば、それが複数鍵を一人が保有している証拠として使えばいい・・・というものです。

この手法は、既にBitcoin向け開発されている MuSig2 用のライブラリが使え、署名のルーチンを独自開発する必要がありません。

また、やることは集約鍵で署名した kind0 をリレーに残すだけなので、手順も非常にシンプルです。集約鍵の検証は通常の Schnorr 署名と同じのため、リレー側で検証のための処理を追加する必要がありません。

シンプルさと証拠の強力さのバランスがとれたいい方法だと思っています。

・・・と、登壇のネタにさせてもらったのですが、PoCが間に合わず、説得力のある発表になっていなかったと思っています。

せっかく登壇の機会をもらったのに申し訳なかったです。

今回作ったテスト用のアカウント 2鍵の集約署名でkind0を投稿した

テスト用アカウント

また、頂いた持ち時間(10分)で話が収まるネタではなかったかな・・・とも思っており、そこも反省点です。

また別の機会に、詳しく説明したり、興味のある方いれば議論する時間を持ちたいです。

運営

今回も運営のお仕事をさせて頂きました。

具体的には、

  • 参加登録回りの準備・ウォッチ・報告
  • 当日受付の準備・調整
  • 一部登壇者の方との調整
  • 一部英訳

です。

参加登録回りの仕事は滞りがちになってしまい、運営の皆さんにご迷惑かけたかと思います。

特にメーリングリストを使った参加登録者への連絡が滞ってしまったのは申し訳なかったです。

一週間に一度メールを一通送るだけでいいはずだったのですが、その作成時間だけでなく、送るべき内容に関して、統計の確認や不明点の確認調整時間など、本来みておくべき作業時間を見誤っていました。さすがにメール一通5分・・・というわけにはいかなかったです。

登壇者の方との調整も同様で、調整をこなすのに必要な時間を見誤っていました。反省して別の機会につなげたいです。

今回は受付メンバーの皆さんに、当日の受付の振り返りをする機会を持ってもらいました(私は振り返り会にはさんかできず・・・)。そこで様々な改善点が挙がりました。

率先して振り返りしてくださった、ぺぇさん、快く協力してくださった受付メンバー、こたさん、うちじょうさん、しおさん、たゃさん、ゆとさんありがとうございました。

みなさんの議論の中で一つ印象に残っているのが「受付の場が、参加者との交流の場になっているよ!」という意見でした。

それもあって、受付の時間楽しむことができた・・・と言ってくれた方々いたことが嬉しかったです。 次回があれば、受付で交流が捗る・・・という特性をもっと活かしたデザインにできたらな・・・と考えています。

Nostrasia からはじめる世界平和

「世界平和」は大げさな話題に見えて、決してそんなことはないと思っています。

昨今は、世界中で紛争の種が火を噴いたり、日本周辺でも有事への懸念が高まっています。

今まさに燃え上がろうとしている火の手は個人レベルではどうにかできるものではないかもしれません。 ですが、50年後、100年後に紛争の無い世界になっているためには、個人レベルの活動や人の繋がりがカギになると考えるからです。

個人やコミュニティができる Peace building の指針は、国連中心にいくつか分かりやすい出版物が存在します。

上記の出版物、それぞれコンセプトに違いはありますが、無理やり一言にまとめてしまえば「我々に違いは確実にある。限界もある。だからこそ愛せよ」だと思います。

互いの立場を尊重しつつ、お互いにやれる範囲で努力を持ち寄り、障害を乗り越えることです。 今回のイベントの中に実践のヒントがたくさんあったと思っています。

一番典型的な例が「言語障壁を乗り越える」ことです。

私たちが日本語以外のコミュニケーションに難しさを感じるように、日本のヘリテージ等の背景が無い方々が、日本語を理解するのは同様にかなり難しいことが予想できます。

イベント運営メンバーが殆ど日本人で、英語はなんとか理解できるけど、他の外国語をその場で理解するのは絶望的、イベントの場は日本で参加者のマジョリティは日本人、もちろん運営のリソースは限られている・・・という状況で何ができるか考えてみたいと思います。

例えば、こんなところかな・・・と思います。

  • 海外から来る参加者には、コミュニケーションに多少の努力が必要なことは認識してもらう
    • 日本語や不慣れな英語であっても内容を把握する責任は、日本に来る側にあることを求める
    • 日本語であっても拙い英語であっても、きちんと聞き分からなければ聞き返すことを求める
  • 運営側は外国語に関して合理的な配慮を行う
    • 重要事項の説明に対して使用される言語を明示し、可能であれば英語を加える(日本語・英語のみなど)
    • 外国語によるコミュニケーションの難しさをテクノロジーと準備で補う(翻訳ソフトの利用・説明文の事前準備など)
  • これらの配慮や勇気、努力のためのエネルギーは、互いを好きになってこそ湧き上がることを理解する
    • 文化に違いのあることを理解し、それでも相手を好きになる
    • 何となく気に食わない言動を見ても、一度立ち止まり、文化の違いが起因でないか、組織として振り返る

実際に今回、登壇イベントで音声の自動翻訳(日英)を準備してもらいました。 動作確認する時間にもかなり制約があったと思うのですが、準備してくれて有難かったです。 こういう配慮とても大きいな・・・と思います。

紛争に際しては、国家レベルでの協調や競争、地政学リスクの分析が重要かもしれません。 ですが、一人ひとりができる事のヒントが Nostrasia の様な様々な国から参加者が来るイベントに詰まっていると思います。

こういった配慮と勇気、努力に基づいた「内なる小さな戦い」が、いつか一部の戦争を望む人が世間を動かそうとするパワーを大きく上回る事を願っています。

References