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翻訳 - Protocols, Not Platforms: A Technological Approach to Free Speech

2024-04-22
Abstract
Protocols, Not Platforms: A Technological Approach to Free Speech の翻訳記事

前置き

本エントリは、

原題: Protocols, Not Platforms: A Technological Approach to Free Speech Altering the internet’s economic and digital infrastructure to promote free speech

の翻訳記事です。

deepl翻訳をベースに、原文との文意の相違、翻訳抜けを修正・追記しています。

プラットフォームではなくプロトコルを: 言論の自由への技術的アプローチ

言論の自由を促進するために、インターネットの経済的・デジタル的インフラを変革する

BY MIKE MASNICK

AUGUST 21, 2019

インターネットやソーシャルメディアは、より多くの言論を可能にし、思想市場を向上させるものとして、十年程度の間はおおむ肯定的なものだったといえる。しかし、ここ数年でその見方は劇的に変化し、今ではほとんど誰も満足していないようだ。 これらのプラットフォームが、荒らし、偏見、憎悪の巣窟になっていると感じる人もいる。1 一方で、これらのプラットフォームが言葉狩りに積極的になりすぎ、特定のものの見方を組織的に封殺したり検閲したりしていると感じる人もいる。2 これは、プライバシーの問題や、これらのプラットフォームが収集したすべてのデータで何をしているのか(あるいは何をしていないのか)という問題にも触れていない。

この状況は、SMSを運営する企業の内外に、危機をもたらしている。

言論の自由の擁護者として自らを宣伝してきたにもかかわらず、オンラインにおける真実と優しさの裁定者としての新たな立場に対応することに、企業は常に苦慮している。 一方、二大政党の政治家たちは、全く異なる理由ではあるが、これらの企業を非難している。これらのプラットフォームが、我々の選挙への外国からの干渉を許している可能性があると不満を述べている者もいる。3 SMSが偽情報やプロパガンダを広めるに使われていると非難するものもいる。4 一部の人々は、プラットフォームが強力すぎるだけだと非難している。5 また、不適切なアカウントやコンテンツのテイクダウンに注意を喚起している者もいる。6一方で、特定の政治的視点に対する差別をモデレートしようとする試みだと主張する者もいる。7

はっきりしているのは、これらの課題には単純な解決策はないということだ。通常提示される解決策のほとんどは、現実の問題を扱わず、実行不可能にしている技術的・社会的課題を考慮しない傾向がある。

オンライン上のコンテンツの取り締まりをもっと強化すべきだと主張する人もおり、フェイスブック、ユーチューブ、ツイッターなどの企業は、モデレーション・チームのスタッフとして数千人を雇用することを話している。 8 コインの反対側では、企業はより多くの、より洗練された技術的支援、例えば人工知能にますます投資するようになっており、より早い段階で論争的なコンテンツを発見しようとしている。 9 プラットフォームがどのようにモデレートするか(あるいはどのようにモデレートしないか)を決定する自由裁量を与えているCDA230条を変更すべきだと主張する意見もある。10 また、少なくとも一定の規模の公共の広場の一部とみなされるようなプラットフォームに対しては、モデレーションを一切認めるべきではないという意見もある。11

この記事で強調しようとするように、これらの解決策のほとんどは実行不可能であるばかりか、その多くは当初の問題をさらに悪化させるか、同様に悪質な別の影響をもたらす。

この記事では、まったく異なるアプローチを提案する。このアプローチは直感に反するように見えるかもしれないが、荒らしや憎悪に満ちた言論、大規模な偽情報活動の影響を最小限に抑えつつ、より自由な言論を可能にする実行可能な計画を提供できるかもしれない。 おまけに、これらのプラットフォームのユーザーがプライバシーを管理できるようになるかもしれない。 さらに、これらのプラットフォームにとって、まったく新しい収入源を提供できるかもしれない。

そのアプローチとは、プラットフォームではなくプロトコルを構築することだ。

明確には、これはインターネットがかつてそうであったような姿にまで戻るというアプローチである。 初期のインターネットは、多くの異なるプロトコル、つまり誰でも互換性のあるインターフェースを構築するために使用できる命令や標準を含んでいた。 電子メールはSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)を使用した。 チャットはIRC(Internet Relay Chat)で行われた。 UsenetはNNTP(Network News Transfer Protocol)を使用した分散型ディスカッションシステムとして機能した。 World Wide Web自体に独自のプロトコルであった、つまりハイパーテキスト・トランスファー・プロトコル(HTTP)である。

しかし、ここ数十年、インターネットは新しいプロトコルを構築するのではなく、プライベートに管理されたプラットフォームを中心に成長してきた。 これらは、以前のプロトコルと似たような方法で機能することができるが、単一のによって管理されている。 これにはさまざまな理由がある。 明らかに、単一の事業体がプラットフォームを管理することで、そのプラットフォームから利益を得ることができる。 さらに、単一の事業体であるが故、新しい機能、アップグレード、バグ修正などをより迅速に展開し、ユーザーベースを増やすことができる。

幾つかのプラットフォームは既存のオープンなプロトコルを実にうまく利用している。しかしながら、実装は秘匿されユーザーにはインターフェース部分を提供するのみである。12

プロプライエタリなプラットフォームではなく、プロトコルが支配する世界に移行すれば、現在インターネットが直面している多くの問題を解決することができる。 オンライン上の言論を取り締まるために少数の巨大なプラットフォームに依存するのではなく、誰もが独自のインターフェースやフィルター、追加サービスを設計し、特定の声に対する検閲に頼ることなく、最もうまく機能するものを成功させることができるような、広範な競争を行うことができる。そうすれば、エンドユーザーがさまざまな種類の言論に対して自分なりの許容範囲を決めることができるようになるが、誰も完全に黙らせたり、プラットフォーム自身が言論の許否を決定したりすることなく、多くの人が最も問題のある言論を避けることがずっと容易になる。

要するに、プロトコルは権力と意思決定を一部の強力な企業グループに集中させるのではなく、エンドユーザーにまで押し出すのだ。

同時に、より革新的な新機能や、エンドユーザーによるデータ管理の向上にもつながるだろう。 最終的には、ユーザーデータの収益化だけに焦点を当てない、一連の新しいビジネスモデルの先駆けとなる可能性もある。

歴史的に見ると、インターネットは分散型プロトコルよりも中央集権型プラットフォームの世界へとどんどん移行していった。この理由の一部は、これまでのインターネットで利潤を得る構造にあった。プロトコルは収益化が難しく、そのために更新を続けたり、新しい機能を魅力的な形で提供したりすることが難しかった。そのため、企業が参入し、より中央集権的なプラットフォームを構築し、独自の機能を追加する(そして独自のビジネスモデルを取り入れる)ことで、より多くのリソースをそのプラットフォーム(とビジネスモデル)に投入することができ、プラットフォームの好循環(そして固定化されたユーザー数)を生み出すことができた。

しかし、それは独自の困難をもたらした。支配とともに、これらのプラットフォームでホストされるコンテンツのこれまで以上に大きな取り締まりを含む責任への要求が生まれた。 また、フィルターバブルや偏見への懸念も生まれた。13 加えて、それは少数のインターネット企業の支配を生み出し、それは(極めて合理的に)多くの人々を不快にさせている。14

プラットフォームよりもプロトコルに焦点を戻すことで、これらの問題の多くを解決することができる。 また、他の最近の動きは、そうすることで、プロトコルベースのシステムの以前の落とし穴の多くを克服し、すべての言葉の最高のものを作成する可能性があることを示唆している。すなわち、競争がイノベーションを促進し、巨大企業にだけに制御されず、財政的に持続可能であり、エンドユーザーが自分自身のデータとプライバシーをより制御することができ、大混乱を引き起こす誤った情報や偽情報をはるかに少ない機会を提供するシステムの実現である。

初期インターネットのプロトコルの問題とプラットフォームの得意分野

初期のインターネットは、プラットフォームというよりむしろプロトコルによって支配されていた。しかし初期のプロトコルには限界があり、それによりプラットフォームが支配的になったことを示している。それぞれのプラットフォームにそれぞれ成否の理由が存在する。ここでは、これまでの仮説を説明するため、Usenet と Reddit にの比較に限定する。

概念的には、Usenet も Reddit もよく似ている。どちらも通常は特定のトピックに基づいたフォーラムを含んでいる。Usenet では、これらをニュースグループ(News Group)と呼ばれている。Reddit では、それらは subreddit である。15

しかし、Usenet はオープンなプロトコル(厳密には、Network News Transfer Protocol, NNTP)であり、誰でもさまざまなアプリケーションを使って利用することができた。 Reddit は、単一の企業によって完全にコントロールされた中央集権的なプラットフォームである。

当初 Usenet を利用するには特別なニュースリーダークライアントアプリ(何種類もあった)が必要で、それを用いて Usenet サーバーにアクセスする必要があった。多くのインターネット・サービス・プロバイダーは、もともと独自のものを提供していた(私が1993年に初めてインターネットを利用したとき、大学の News サーバーを経由して、大学が提供する Usenet リーダーを用いて利用した)。 ウェブが普及するにつれて、Usenet へのウェブ・フロントエンドを提供しようとする組織が増えた。 初期の頃、このスペースは Usenet への最初のウェブ・インターフェースのひとつを提供したDeja News Research Service によって支配されていた。Deja はその後、全文検索エンジン(最も役に立った)を含む多くの機能を追加していった。

Deja News はさまざまなビジネスモデルを試したが、最終的に同社のサーチエンジンは停止された。グーグルは2001年に同社を買収した。16 Usenet のアーカイブを含め、Google Group の主要部分として利用している。(現在も Google 専用の電子メール形式のメーリングリストや、Usenet の多くとそのニュースグループへのウェブ・インターフェースを提供している)

Usenet の多くは複雑であり、人々に浸透していなかった(ウェブ・インターフェイスが普及する以前の時代である)。ユースネットの初期のジョークは、毎年9月になると、混乱した「初心者」、つまり、大学の新入生が新しいアカウントを与えら、サービスを利用する際の一般的な慣習や適切なエチケットについてほとんど知らず、自然とサービスが埋め尽くされるというものだった。そのため、9月というのは、多くの古参者が、新規参入者がシステムの規範に従うまで、その行動をイライラさせながら「矯正」する時期だった。

同様の形で、1993年9月以降の期間は、古くからの Usenet 愛好家たちによって、“終わらない9月 “や “永遠の9月 “として記念されてきた。それは、American Online(AOL)という独自のプラットフォームが Usenet に門戸を開き、大量生産型のユーザーが多くに流入した瞬間だった。17

多くの異なる Usenet サーバーがあったため、コンテンツは一元的にはホスティングされず、さまざまなサーバーにコンテンツを転送る。これには利点と欠点があった。利点としては、サーバーによって異なるコンテンツを異なる方法で扱うことができること、すべてのユーズネットサーバーがすべてのグループをホスティングする必要はないことであった。しかし、それはまた、破壊的または荒らし的な活動に対処する中央当局が存在しないことを意味していた。そこで、それぞれのサーバーは特定のニュースグループをブロックすることを選択することができ、エンドユーザーは自身の基準に基づいて、不要なコンテンツをフィルタリングするためのキルファイルなどのツールを使用することができた。18

オリジナルの Usenet のもう1つの大きな欠点は、特に大規模な変更に関して、適応性や柔軟性がなかったことだ。プロトコルが非中央集権的であったため、プロトコルの変更を実装する前は、幅広い関係者の同意をえる必要があった。小さな変更でさえ、かなりの作業を必要とすることが多く、その場合でも全関係者から認識されるわけではなかった。新しいニュースグループの開始は、かなり複雑なプロセスだった。 特定の階層については承認プロセスがあったが「alt」カテゴリーはセットアップがはるかに簡単だた(ただし、すべての Usenet サーバーがその掲示板を扱うかどうかは保証されていなかった)19 それに比べると、新しい subreddit を立ち上げるのは簡単で、 Reddit には製品とエンジニアリングのチームがあり、望む変更を加えることができるが、その変更がどのように行われるかについて、ユーザーベースの発言権ははるかに少ない。

恐らく旧来のシステムで最も問題だったのは明確なビジネスモデルが無かったことである。Deja News の死が示したように、Usenet サーバーを運営することは、特に利益を生むものではなかった。時が経つにつれて、アクセスするために支払いが必要な「プロフェッショナル」Usenet サーバーが増加してきたが、それらはかなり後発であり、Reddit のようなインターネット・プラットフォームと比べるとそれほど大規模ではなく、一般的に海賊版の取引に焦点を当てていると考えられている。20

現在の巨大プラットフォームの問題点

この20年間で、Facebook、Twitter、YouTube、Reddit などのインターネット・プラットフォームが台頭し、以前使われていたプロトコル・ベースのシステムは多かれ少なかれ取って代わられた。 プラットフォームでは、エンドユーザー向けのサービスを運営する単一の(通常は営利目的の)企業が存在する。 これらのサービスは、まずベンチャーキャピタルから資金を調達し、次に広告(多くの場合、高度にターゲット化された)によって資金を調達する傾向がある。

プラットフォームはすべて WWW 上に構築され、従来のウェブ・ブラウザや、最近ではモバイル機器のアプリからアクセスする傾向がある。 プラットフォームとしてサービスを構築することの利点はかなり明白である。所有者はそのプラットフォームを最終的にコントロールすることができるため、何らかの形の広告(またはその他の付随サービス)を通じてプラットフォームを収益化するのに非常に有利な立場にある。このことは、より良いターゲティングを行うために、ユーザーから継続してデータを取得する動機ともなる。

この状況は プラットフォームが公平にプレーしていない、あるいは収集してきたエンドユーザー・データを適切に「保護」していないと、ユーザーと規制当局の双方の当然の懸念と反発を招いた。21

今日の巨大なプラットフォームが直面している2つ目の問題は、規模が大きくなり、日常生活の中心的な存在となるにつれて、プラットフォームの運営者に対して、コンテンツの投稿許可や、取り締まったりブロックしたりする際に、運営者が負う可能性のある責任に対して懸念が高まっていることである。22 彼らは、ユーザーと政治家の両方から、コンテンツをより積極的に取り締まるよう圧力に直面している。23 いくつかのケースでは、プラットフォームに対して特定のコンテンツの削除をより明確に義務付ける法律が成立し、以前の免責が徐々に削られている(米国では通信品位法230条、EUでは電子商取引指令など)。

このため、プラットフォームは、より積極的に行動するだけでなく、さまざまな立法機関で証言し、コンテンツモデレーター候補として何千人もの従業員を雇用し、モデレーション技術に多額の投資をする必要性を感じている。しかし、このような規制上の義務や人的・技術的投資を行っても、どのプラットフォームも、コンテンツのモデレーションを大規模に適切に行うことができるかどうか、まだ明らかではない。

問題として、どのようなプラットフォームでも、モデレーションをするということは、結果として誰かを動揺させるということだ。 もちろん、コンテンツがモデレートされた人たちはそれを喜ばない傾向があるが、そのコンテンツを見たり共有したかった他の人たちも同じだ。 同時に、多くの場合、コンテンツをモデレートしないという決定もまた、人々を動揺させる可能性がある。現在、プラットフォームは、政治的バイアスがコンテンツモデレーションを後押ししているとの非難(ほとんどが証拠なしであることは確かだが)を含め、モデレーションの選択について多くの批判を受けている。 プラットフォームがより大きな責任を負うようプレッシャーに直面する中、コンテンツモデレーションに関するすべての選択は、彼らを窮地に追い込んでいる。 議論のあるコンテンツを削除すれば、それを作成した人々やそれを支持する人々を怒らせ、議論のあるコンテンツの削除を控えれば、それを問題視する人々を怒らせる。

プラットフォームは勝ち目のない立場に立たされている。 彼らはこの問題にますます多くの資金を投入し、国民や政治家と対話し続けることはできるが、十分な数の人々が満足するような結果になるとは到底思えない。Facebook、Twitter、YouTube のようなプラットフォームが特定のコンテンツを削除しなかったとき、それに腹を立てる人々を容易に見つけることができる。削除したときも同様である。

この状況は関係者全員にとって不満であり、すぐに改善されることはないだろう。

プロトコルによる救済へ

この記事では、プラットフォームではなく、インターネットを支配するプロトコルの世界に戻ることを提案している。プロトコルのシステムに移行することで、今日のプラットフォームに関連する問題の多くを解決することができ、二、三十年前のプロトコルに内在していた問題を最小限に抑えながら実現できると考える。

「銀の弾丸」は存在しないものの、プロトコルに基づくシステムは、ユーザーのプライバシーと言論の自由の両方をよりよく保護し、オンライン上の悪用行為の影響を最小限に抑え、ユーザーの利益とより一致した、新しく説得力のあるビジネスモデルを生み出すことができるだろう。

これを実現する鍵は、現在私たちが目にする様々なプラットフォーム用に特定のプロトコルが存在する一方で、そのプロトコルの多くに、互いに競合するインターフェイス実装が存在することである。競争はこれらインターフェースの実装から生まれるだろう。仮に、ある実装から別の実装に移行する際のスイッチングコストが下げることができれば、ユーザーのロックインが少なくなり、誰もが独自のインターフェイスを作成し、基礎となるプロトコル上のすべてのコンテンツとユーザーにアクセスできるようになり、競争への参入障壁が劇的に低くなる。もしソーシャル・ネットワークのためのプロトコルへのアクセス手段が既に存在し、異なる、もしくはより優れたインターフェースを提供するだけなら、Facebook を一から構築する必要はないわけだ。

実例は既にある。電子メールシステムだ。電子メールは SMTP、POP3、IMAP のようなオープンな標準に基づいている。24 電子メールには様々な実装がある。1980年代と1990年代の一般的な電子メールシステムは、クライアントサーバーセットアップに依存しており、サービスプロバイダ(商用インターネットサービスプロバイダ、大学、雇用主など)は、Microsoft Outlook、Eudora、Thunderbird のようなソフトウェアを介してユーザーのコンピュータにダウンロードされるまで、電子メールをサーバー上で一時的にホストしていた。または、ユーザーは Pine や Elm のようなテキストインターフェイスを介して電子メールにアクセスすることができた。25

1990年代後半には、まず Rocketmail(最終的に Yahoo に買収され、Yahoo Mail となる)と Hotmail(Microsoft に買収され、数年後に Outlook.com となる)がウェブベースの電子メールを台頭させた。Google は2004年に独自のサービスである Gmail を発表し、新たな技術革新の幕開けとなった。Gmail は、電子メール用のストレージ容量を大幅に増やし、ユーザーインターフェースも大幅に高速化させた。26

このような状況ながら、こうしたオープンな標準の存在のため、柔軟性は非常に高かった。 ユーザーは、Gmail 以外のメールアドレスを Gmail のインターフェイスで使用することができた。あるいは、Microsoft Outlook や Apple Mail など、まったく別のクライアントで Gmail アカウントを使用することもできる。27 その上、Chrome拡張機能など、Gmail自体の上に新しいインターフェイスを作成することも可能だ。28

このセットアップにはエンドユーザーにとって多くの利点がある。 Gmail のような1つのプラットフォームが市場で人気を得たとしても、乗り換えのコストはずっと低い。 ユーザーが Gmail の特定の機能の扱い方を気に入らなかったり、Google のプライバシー慣行を懸念していたりする場合、別のプラットフォームに乗り換えるのはずっと簡単で、ユーザーは自分の古い連絡先すべてにアクセスできなくなったり、(Gmailユーザーのままの連絡先であっても)他の誰かにメールを送ることができなくなったりすることはない。

この柔軟性が、Gmail がユーザーを大切に扱うようにする Google 側の強いインセンティブになっていることに注目してほしい。これは、Facebook や Twitter のような完全に独自化されたプラットフォームとは異なる点である。それらのプラットフォームを離れるということは、そこにいる人々と同じようにコミュニケーションをとることができなくなり、彼らのコンテンツやコミュニケーションに簡単にアクセスできなくなることを意味する。Gmail のようなシステムでは、連絡先やレガシーEメールさえも簡単にエクスポートすることができ、誰ともコンタクトを取り続ける能力を失うことなく、別のサービスで再び始めることができる。

加えて、競争環境も大きく広がる。Gmailが 特に人気のある電子メールサービスであるとしても、Outlook.com や Yahoo Mail のように本格的な電子メールサービスを構築したり、Zohomail や Protonmail のように異なる市場やニッチをターゲットにした電子メールサービスのスタートアップを成功させたりすることができる者もいる。29 また、既存のEメールエコシステムの上に構築できる他のサービスにも門戸が開かれ、単一のプラットフォームに依存することで締め出される恐れが少なくなる。 例えば、Twitter 30、 Facebook 31 が、製品の方向転換やサードパーティ製アプリの切り捨てする傾向があるが、電子メールの分野では、Boomerang、SaneBox、MixMax のようなサービスや企業の市場が盛んで、それぞれがさまざまな異なる電子メールプラットフォームで動作する追加サービスを提供している。32

その結果、電子メールサービス間でもサービス内でも、より良いサービスを提供するための競争が発生し、大手メールサービスがユーザーの最善の利益のために行動し続ける強いインセンティブが生まれる。

言論の自由を守りつつ濫用行為の影響を制限する

コンテンツモデレーションに関する議論で最も論争となるのは、おそらく「罵倒」行為をどうするかということだろう。 オンライン上にそのような行為があり、それが破壊的なものであることはほぼ誰もが認識しているが、それが実際にどのようなものを含むのかについては合意が得られていない。 人々を悩ませる行為は、ハラスメント、ヘイトスピーチ、脅迫、荒らし、わいせつ行為、晒し行為からスパムなど、さまざまなカテゴリーに分類される。しかし、どのカテゴリーも包括的な定義はなく、その多くは見る人に委ねられている。 例えば、ある人が強く意見を表明しようとしたことが、受け手にとってはハラスメントに映ることもある。それ自体はどちらも間違っていないかもしれない。しかし、判断を各プラットフォームに委ねるのは、一日に何億ものコンテンツを扱う場合、不可能である。

現在のところ、プラットフォームはこうした問題に対処する究極の中央集権的な機関である。 多くのプラットフォームは、複雑化する社内の「法律」(その「裁定」はエンドユーザーには明らかにならないことが多い)で問題に取り組んでおり、その「法律」は多数の従業員(比較的低賃金で外注されることが多い)に引き渡され、その従業員には何千ものコンテンツについて判断を下す時間がほとんど与えられていない。33

このようなシステムでは、タイプI(「偽陽性」)とタイプII(「偽陰性」)の両方の過誤は良くあるだけでなく、避けられない。 大勢の人々が削除されるべきだと考えているコンテンツが放置されている。34 一方、多くの人々は、残るべきコンテンツが削除されると信じている。35 コンテンツモデレーションの従業員は、全く異なる観点からコンテンツを見る可能性があり、コンテンツモデレーターが個別背景を考慮することは不可能に近い(個別背景の多くを利用できないか、彼らに明らかでない可能性があるため、また、各状況を完全に調査するのに必要な時間がかかるため、コスト効率的に行うことが不可能なためでもある)。同様に、背景情報や意図を適切に考慮する技術的解決策はない。コンピュータは、人間の読者であれば誰でもわかるようなレベルであっても、風刺や誇張表現といったものを認識することはできない。

一方、プロトコルベースのシステムは、意思決定の多くを中央から遠ざけ、エンドユーザーに委ねる。内部的な偏見やインセンティブを伴う単一の中央集権的なプラットフォームに依存するのではなく、誰もが、どのコンテンツを見たくないか、どのコンテンツを宣伝してほしいかなど、独自のルールセットを作成できるようになる。ほとんどの人は、自分の嗜好やレベルをすべて手動でコントロールしたいとは思わないだろうから、これは、競合するプラットフォームであれ、公益団体であれ、地域コミュニティであれ、いくらでも簡単にサードパーティに委ねることができる。 そうしたサードパーティは、どんなルールでも、どんなインターフェースでも作ることができる。

たとえば、自由権の問題に関心のある人は、ACLU や EFF がリリースしているモデレーション・フィルターやアドオン・サービスを購読するかもしれない。 政治に深く関与している人は、指定した政党のフィルターを選ぶかもしれない(この場合、「フィルター・バブル」の増加に対する懸念が生じるのは明らかだが、後述するように、このようなものの影響は限定的であると考えられる理由がある)。

より良い体験を提供することだけに焦点を絞った、まったく新しいサードパーティが誕生するかもしれない。 これは、コンテンツモデレーションフィルターに限ったことではなく、ユーザーエクスペリエンス全体に関わることである必要がある。 荒らしアカウントからのコンテンツを排除し、従来のクリックベイトを避け、より思慮深く、示唆に富んだストーリーを促進するよう、あらかじめ設定された(そして常に更新される)Twitter のためのより良いインターフェースを想像してみてほしい。あるいは、会話のためのより良いレイアウトを提供したり、ニュースを読むためのインターフェイスを提供したりすることもできるだろう。

重要なのは、「ルール」が共有可能であるだけでなく、完全に透明で、エンドユーザーがコントロールできるようにすることである。 つまり、EFF が公開する Twitter のコントロールを使い、新しい非営利団体が提供するインターフェイスを使うが、例えば、EU に関するコンテンツを増やしたい場合は、設定を微調整できるようにする。 あるいは、主にニュースを読むためにネットワークを使いたい場合は、ニューヨーク・タイムズが提供するインターフェイスを使うかもしれない。 あるいは、友人とチャットしたい場合は、少人数の友人グループ間でより良いコミュニケーションができるように設計された特別なインターフェイスを使うことができる。

このような世界では、100万のコンテンツ・モデレーション・システムが、それぞれまったく異なるアプローチで、同じコンテンツにアクセスし、どれが最もうまく機能するかを見ることができる。 中央集権的なプラットフォームは、もはや何が許され、何が許されないかを決定する唯一の存在ではなくなる。むしろ、多くの異なる個人や組織が、自分たちの快適なレベルに合わせてシステムを微調整し、それを他の人と共有することができるようになる。より根本的な、ソーシャル・ネットワークのレベルではなく、実装レイヤーで競争が起こるようになる。

このシステムは特定の人物が発言のためにシステムを使うことを阻害しない。しかし、より人気のあるインターフェイスやコンテンツモデレーション・フィルターが、自発的にそれらを含めないとしたら、彼らの発言力と影響はより制限されることになる。これは、より民主的なアプローチを提示するものであり、フィルター市場が競争することを可能にするものである。もし、あるインターフェイスやフィルタープロバイダーが優れた仕事をしていないと感じた場合、人々は他のインターフェイスやフィルターに移ったり、自分で設定を調整したりすることができる。

したがって、中央のコントロールが減り、検閲に対する批判も減り、競争が激しくなり、アプローチの幅が広がり、エンドユーザーにコントロールが委ねられる。結果として多くのユーザーが不適切と考えるコンテンツへの接触が最小化されるだろう。さまざまなフィルターの選択肢が存在することで、どれだけ多くの人がその個人の言論をどのくらい問題視しているかに比例して、問題の個人への接触可能性が変化する可能性が高い。

問題の一例として、InfoWars を運営し、定期的に様々な陰謀論を支持してきたエンターテイナー、アレックス・ジョーンズのアカウントをプラットフォームがどのように扱ったかをめぐって、大きな論争が起きた。 ユーザーは Facebook に対し、彼を排除するよう大きな圧力をかけ、Facebook が最終的に排除したときには、彼を排除したのはFacebook が彼の政治思想に偏見を持っていたためだと、彼の支持者からの反発に直面した。36

プロトコルに基づいたシステムであれば、ジョーンズが誠実な行為者でないと信じてきた人たちは、もっと早くから彼をブロックしていただろうし、他のインターフェース・プロバイダー、フィルター・プロバイダー、個人は、特にひどい行為に基づいて介入する決定を下すことができる。 ジョーンズの強力な支持者たちは、おそらくジョーンズをブロックすることはないだろうが、ジョーンズの全体的なリーチは制限されるだろう。 したがって、ジョーンズの戯言に煩わされたくない人たちはそれに対処する必要はなく、見たい人たちは依然としてそれにアクセスすることができる。

さまざまなフィルターやインターフェイス(そして自分でカスタマイズできる機能)が市場に出回ることで、よりきめ細かな対応が可能になる。陰謀論者や荒らしは、「主流」のフィルターで発見されることは難しくなるが、その声を聞きたい人たちから完全に遮断されることはない。今日の中央集権的なシステムでは、すべての声がある意味平等である(もしくは完全 ban されている)。プロトコルに重点を置いた世界では、過激な意見が主流にアピールされる可能性が低くなるだけだ。

ユーザーデータとプライバシーの保護

プロトコルベースのシステムの副次的な利点として、ほぼ間違いなく私たちのプライバシーが向上するだろう。このようなシステムの下では、ソーシャルメディアのシステムは、あなたのすべてのデータを収集し、ホストする必要は無いからである。代わりに、フィルタリングの決定がエンドに移動するように、データストレージも移動する可能性がある。これは様々な方法で開発することができまるが、一つの非常に簡単な方法は、エンドユーザーが制御するアプリを介して、シンプルに独自の「データストア」を構築することである。ほとんどの人がローカルにデータを保存するような世界に戻る可能性は低いため(特に、コンピューター、スマートフォン、タブレットなど、多くのデバイスから物事を行うことが増えているため)、このデータをクラウドにホストすることは依然として理にかなっている。しかし、データは管理主体はエンドユーザーである。

この場合、専用のデータストア会社を利用し、データストア会社がアクセスできない暗号化されたブロブとしてクラウドにデータをホスティングし、あなた自身が必要な時に必要な目的で選択的にアクセスできるようにするかもしれない。 このデータは、あなたのユニークな ID としても機能する。 そして、Twitter のようなプロトコルを使いたい場合は、Twitter のようなプロトコルが必要なものにアクセスできるように、データバンクへのアクセスをオープンにするだけでよい。そして、いつ、どのようにあなたのデータにアクセスし、何をしたかを見ることができる。誰かがそのアクセスを悪用すれば、いつでもアクセスを遮断することができる。場合によっては、あるサービスがあなたのデータにアクセスしていても、特定のデータを収集することはできず、ハッシュ化された形で集計や要約情報を受け取るだけになるようなシステムも設計できる。

こうすることで、エンドユーザーは自分のデータを様々なソーシャルメディア・ツールに利用することができるようになるが、そのデータを不透明なサイロに閉じ込め、アクセスも透明性もコントロールもできないようにするのではなく、コントロールは完全にエンドユーザーに移されることになる。 仲介業者は、遮断されるのを避けるために最善の行動をとるよう動機付けられる。エンドユーザーは、自分のデータが実際にどのように使用されているかをよりよく理解できるようになり、他のサービスにサインアップしたり、あるシステム要素から別の要素にデータを安全に受け渡す能力も向上し、強力な新機能も利用できるようになる。

このようなシステムの下では、さまざまな仲介業者が依然としてあなたのデータをすべて吸い上げることに集中するのではないかという懸念があるかもしれない。しかし、いくつかの重要な理由からそうはならない。第一に、同じプロトコルを使用し、異なるインターフェース/フィルター・プロバイダに切り替えることができるため、データに対してあまりにも「貪欲」になるプロバイダは、ユーザーから拒絶される可能性が高い。第二に、データ・ストアをインターフェース・プロバイダーから切り離すことで、エンド・ユーザーはより高い透明性を得ることができる。このアイディアは、ホスティング側がデータにアクセスできないように、暗号化されたフォーマットでデータ・ストア/クラウド・サービスに保存するというものだ。インターフェース・プロバイダーはアクセスを要求する必要があり、(1)どのデータ・プラットフォームが、どのくらいの期間、どのような理由でアクセスを許可されるかを決定し、(2)その使用方法に納得がいかない場合はアクセスを遮断できるようなツールやサービスが開発される可能性がある。

インターフェイス/フィルターが、あなたのデータを収集し、保持するためにその権限を濫用することは可能であろうが、これを回避する技術的な手段も同様に考えられる。データストアから適切なデータのみをほぼリアルタイムにに引き出すようなプロトコルを設計することもそのひとつだ。もし、そのように実行されず、あなたのデータの独自のストアにアクセスしているのであれば、自分の意に反してデータが収容されているという警告のトリガにできる可能性がある。

最後に、ビジネスモデルについて以下で説明するように、インターフェース・プロバイダーにとっては、エンドユーザーのプライバシーの要望を尊重するインセンティブがより強くなる。 ユーザーを動揺させれば、ユーザーは逃げ出し、インターフェース・プロバイダー自身の経済的利益を損なうことになりかねないからだ。

より大きなイノベーションを可能にする

プロトコルシステムは、その性質上、コンテンツにアクセスするためのインターフェイスを誰でも作成できるようにすることで、この分野での技術革新が進む可能性が高い。 そのレベルの競争は、ほぼ間違いなく、サービスのあらゆる面を改善し、革新を試みるさまざまな試みをもたらすだろう。 競合サービスは、より優れたフィルター、より優れたインターフェイス、より優れた、あるいは異なる機能などを提供することができる。

今のところ、プラットフォーム間の競争しかなく、それはある程度起きているが、かなり限定的である。 市場が少数の大企業を受け入れることができるのは明らかで、Facebook、Twitter、YouTube、Instagram などがユーザーの注目を集めるために競争することはあっても、自社のサービスを向上させるインセンティブはあまりない。

しかし、もし誰もが新しいインターフェイスや新機能、より良いモデレーションを提示することができれば、突然、特定のプロトコル(以前はプラットフォーム)内での競争が熾烈になる可能性がある。 様々なアイデアが試され、捨てられるかもしれないが、現実世界という名の実験室では、これらのサービスがどのように革新し、より多くの価値をより迅速に提供できるかをすぐに示すことができるだろう。現在、多くのプラットフォームがAPIを提供し、サードパーティが新しいインターフェイスを開発できるようにしているが、APIは中央のプラットフォームによってコントロールされており、彼らは気まぐれに変更することができる。 実際、ツイッターはAPIとサードパーティの開発者に対するサポートを何度も何度も変更したことで有名である。しかし、プロトコルシステムの下では、APIはオープンであり、誰もがそれをベースに構築できることが期待され、開発者を切り捨てる中央の企業は存在しないだろう。 37

その上、より優れたコンテンツモデレーションツールを提供することに注力するパーティや、先に述べた競合するデータバンクのような補助的なサービスも含め、技術革新のためのまったく新しい分野が生まれる可能性が高い。 それらのサービスは、追加機能ではなく、スピードと稼動時間で競争するかもしれない。

例えば、オープン・プロトコルとプライベート・データ・ストアの分野で、データ・ストアと様々なサービスとのインターフェイスを提供し、特定のタスクを自動化して付加価値を提供する「エージェント」という形で、ビジネスが発展する可能性がある。この単純なバージョンとしては、特定のトピックや企業に関する関連ニュースを様々なプロトコルやサービスでスキャンし、何かを見つけたらアラートを送信することに特化したエージェントが考えられる。

新しいビジネスモデルの創造

インターネット初期のプロトコルが中央集権型プラットフォームに比べて衰退した主な理由のひとつは、ビジネスモデルの問題である。 独自のプラットフォームを持つことは(それが流行すれば)、企業にとって大金を刷り上げるように見えるモデルであった。しかし、プロトコルを構築し維持することは長い間苦労の連続であった。作業のほとんどは通常ボランティアによって行われ、時間の経過とともにプロトコルは注目されることなく萎縮することが知られていた。 例えば、インターネットの非常に大きな割合が依存していた重要なセキュリティプロトコルである OpenSS Lは、2014年に Heartbleed として知られる重大なセキュリティ上の欠陥があることが判明した。この頃、OpenSSL への援助はほぼ欠如していることが指摘されていた。OpenSSLに取り組んでいたのは、緩く結成されたボランティアのグループと一人のフルタイムであった。歴史的経緯から運営していた財団は、かなり控えめな助成金しか受け取っていなかった。 38

このような例は枚挙にいとまがない。前述したように、Deja News は Usenet から大きなビジネスを生み出すことができず、Google に売却された。電子メールは、プロトコルとしてそれほどお金になるとは考えられていなかったし、通常はISPアカウントに無料で含まれていた。いくつかの初期の企業は、電子メールを中心としたウェブプラットフォームを構築しようとしたが、そのような2つの重要な例は、すぐに大企業に買収され(YahooによるRocketmail、MicrosoftによるHotmail)、より大規模なサービスに組み込まれた、 GoogleはGmailを立ち上げ、電子メールを自社のプラットフォームに引き込むためにそれなりのことを行ったが、収益の大きな原動力となることはほとんどなかった。39 それでも、GoogleがGmailで、MicrosoftがOutlookでそれぞれ成功を収めたことは、大企業がオープンなプロトコルの上に成功裏にサービスを構築できることを示している。 Google が Gmail を本当に台無しにしたり、このサービスで問題の行動があった場合、人々は別の電子メールシステムに移行しつつ、これまでの通信相手全員へのアクセスを維持することは難しくない。

より良いサービスを提供するために、さまざまなインターフェイスやフィルターの実装が競争していることはすでに説明したが、ビジネスモデルの競争もあるだろう。おそらく、現在の Dropbox や Amazon Web Services のように、プレミアム・アクセスやストレージ(およびセキュリティ)に対して課金するようなデータ・ストア・サービスの両方を含む、さまざまなタイプのビジネスモデルの実験が行われるだろう。また、実装やフィルターを中心に、さまざまな異なるビジネスモデルが形成されるかもしれない。プレミアム・サービスや機能に対するサブスクリプションの提供や、別の支払い形態もあり得るだろう。

また、今日のソーシャルメディア・プラットフォームにおける現在の広告市場のデータ監視体制については、極めて合理的な懸念があるが、ここで説明したような世界では、データ集約度の低い広告モデルが成功するかもしれない。繰り返すが、データとプライバシー・レベルがエンドユーザーの手に渡れば、データをより積極的に収集することは、実行可能でも有用でもなくなるだろう。その代わりに、いくつかの異なるタイプの広告モデルが発展する可能性がある。

第一に、より限れたデータに基づく、顧客要求とのマッチングやブランド宣伝に注力したモデルがあり得る。この可能性を垣間見るには、Google の当初の広告モデルを振り返ってみるといい。 Google は、ユーザーのすべてを知ることよりも、むしろその瞬間のインターネット検索の背景情報を知ることに重点を置いていた。もしくは、もっと従来的なブランド広告に戻ることもできる。例えば自動車会社が、あるプラットフォーム上の、自動車に関心のある小さなコミュニティに広告を出すなどである。

あるいは、エンドユーザーが自分のデータをコントロール量によっては、エンドユーザー自身が特定の広告主からのデータアクセスや割引きと引き換えに自分のデータを提供できるような、逆オークション型のビジネスモデルが開発されるかもしれない。 重要なのは、プラットフォームではなくエンドユーザーがコントロールできるということだ。

恐らく最も重要な点として、プロトコルがより継続運用される新しい機運が訪れているかもしれない。ここ数年、暗号通貨やトークンの発展により、何らかの価値を持つ暗号通貨やトークンを使用するプロトコルを構築することが理論的に可能になり、それらの価値は使用量に連動して高まっている。40 これを単純に考えると、トークン・ベースの暗号通貨は企業の株式に相当するが、その価値が企業の財務的成功に結びつくのではなく、暗号トークンの価値がネットワーク全体の価値に結びつくということである。

これらの仕組みについて深入りする必要はないが、これらの通貨はそれ自体が価値を持っており、サポートしているプロトコルに付随している。 より多くの人々がプロトコルを使用するにつれて、通貨やトークン自体の価値が高まる。 多くの場合、通貨やトークンの使用はプロトコル自体を運営するために必要である可能性がある。つまり、プロトコルがより広く使用されるにつれて、通貨やトークンに対する需要が高まる一方で、供給は一定のままか、事前に設計された成長計画に沿って拡大する。

これにより、より多くの人々がそのプロトコルをサポートし、利用するインセンティブが生まれ、関連する通貨の価値を高めることができる。 現在、プロトコルを担当する組織が通貨の何割かを保持し、残りを分配するプロトコルを構築する試みが行われている。 理論的には、このような仕組みが普及すれば、トークン/通貨の価値が高まることで、プロトコルの継続的な保守・運用の資金源となり、現代のインターネットを生み出したオープン・プロトコルの資金調達の歴史的問題を事実上解消することができる。

同様に、インターフェースやフィルター、エージェントのさまざまな実装者が、トークンの価値の増加から利益を得る方法も考えられる。 さまざまなモデルが考えられるが、さまざまな実装者にトークンの特定のシェアを与え、ネットワークの利用が増加するのを助けると、その実装者自身のトークン価値も増加する。トークンの流布は特定のインターフェースの範囲で利用するユーザー数と関連する(システムを利用しようとする偽ユーザーを防止するメカニズムがあればだが)。あるいは、ビットコインの通貨がそのオープンなブロックチェーン台帳を機能させるための重要な要素であるのと同じように、トークンの使用は、システムの実際のアーキテクチャを実行するために必要な要素になる可能性もある。

多くの点で、この仕掛けが、よりサービスのユーザーとプロトコルの開発者やインターフェース・デザイナーの利害を一致させることができる。 プラットフォーム・ベースのシステムでは、インセンティブは、ユーザーに直接課金するか(プラットフォームとユーザーの利害をやや対立させる)、ユーザーのデータをより多く収集して広告を出すかのどちらかになる。理論的には、“良い “広告はエンドユーザーにとって価値があるとみなされるかもしれないが、ほとんどの場合、エンドユーザーは、プラットフォームが多くのデータを収集して広告を打つ場合、プラットフォームとユーザーの利益は不一致になりがちだと感じている。

しかし、トークン化されたシステムでは、トークンの価値を高めるために、より多くの利用を得ることが重要な原動力となる。 このことは、もちろん、他のインセンティブ上の課題を生み出す可能性がある。プラットフォームが多くの時間を吸い上げることに対する懸念はすでにあるし、どんなサービスでも、大きくなりすぎると課題に直面する。 しかし、繰り返しになるが、プロトコルは、より良いユーザー・インターフェース、より良い機能、より良いモデレーションを提供するための競争を促し、それによってこの課題を最小限に抑えることができる。 実際、インターフェースは、より限定された体験を提供することで競争し、情報過多を制限する能力をアピールするかもしれない。

それでも、ネットワーク自体のインセンティブを金銭的利益と一致させることができれば、いまだかつてないユニークな機会が生まれる。

潜在な課題

プロトコルをベースとしたシステムがすべての問題を思ったとおりにに解決すると言っているわけではない。上記の提案の多くは推測の域を出ないし、実際、私たちはすでに歴史的に、プラットフォームがプロトコルを追い抜き、一方でプロトコルの繁栄には限界があったことを目にしている。

致命的な複雑さ

どのようなプロトコルに基づくシステムであっても、十分な数のユーザーベースを惹きつけるには複雑で面倒になりすぎる傾向があることは十分に考えられる。 ユーザーは、物事を動かすために大量の設定やさまざまなアプリをいじくり回したくはない。 彼らはただ、サービスが何であるかを知り、それほど苦労することなく利用できることを望んでいるのだ。 プラットフォームは歴史的に、特に新規ユーザーの獲得を中心に、ユーザーエクスペリエンスの側面に重点を置くことに非常に長けている。 41

もし、新しいプロトコルベースのシステムを試みなければならない場合、最近くみ上げられたプラットフォームの成功例を参考にできればと思うかもしれない。同様に、サービスレベルでのプロトコル内競争は、より良いユーザー体験を生み出すためのより大きなインセンティブを生み出すかもしれない。 そして、その価値は文字通り、より良いユーザー体験の創造と結びついている、関連した暗号通貨の価値についても同様であろう。 実際、プロトコルにアクセスするための最も簡単でユーザーフレンドリーなインターフェースを提供することは、おそらく競争の重要な分野であろう。

最後に、歴史的にプラットフォームが勝利した理由のひとつは、すべてを単一の事業体が管理することで、パフォーマンスが明らかに向上することだ。 データストア/インターフェイスが分離したプロトコルの世界では、複数の企業が滞りなく接続することに、より依存することになる。 Google、Facebook、Amazonといったインターネットの巨人は、自社のシステムをシームレスに連携させることを実に完璧にこなしており、複数のサードパーティを混在させることは、より大きなリスクをもたらすことになる。しかしながら、この技術領域の進歩はまさに日進月歩である(巨大企業でも自社ソフトウェア資産をオープンソースとすることも進歩に貢献している)。その上、ブロードバンドの速度は向上しており、今後も向上し続けるはずなので、このような技術的なハードルを最小限に抑えることができるかもしれない。

既存のプラットフォームが大規模故に変わることができない

もうひとつの潜在的な障害は、既存のプラットフォーム(Facebook、YouTube、Twitter、Redditなど)がすでに非常に大きく、定着しているため、プロトコルに基づくアプローチで彼らを追い落とすのはほぼ不可能だろうということだ。 この批判は、プロトコルに依存したまったく新しいシステムが生まれるしか方法がないことを前提としている。 それはうまくいくかもしれないが、プラットフォーム自体もプロトコルを使うことを考えるかもしれない。

このアイディアに対する多くの反応は、巨大企業が自身の独占的なコントロールとデータから得られる利益を、不可避的に手放してまで、エンドユーザーや同じプロトコルを使う競合が使用するために、データのコントロールを返すだろうか? という問いである。 しかし、いくつかのプラットフォームが実際にこのトレードオフを喜んで受け入れるかもしれないと考える理由がいくつかある。

まず第一に、これらのプラットフォームに対するプレッシャーが高まるにつれ、現在行っていることがうまくいっておらず、今後もうまくいく見込みがないことを認める必要がますます出てくるだろう。 現在の運営形態では、解決不可能に見える問題を「解決」しなければならないというプレッシャーがますます高まるだけだ。 ある意味、プロトコルに移行することで、既存のプラットフォームにとって、自信がその管理人であるという不可能な重荷から解放される方法かもしれない。

第二に、彼らがやっていることを続けることは、ますますコスト高になることだ。 Facebook は最近、さらに1万人のモデレーターと雇用契約を結んだ。YouTube も「数千人」のモデレーターを雇うと約束している。42 これらの雇用は各企業のコスト増を招く。 プロトコルベースのシステムに切り替えることで、モデレーション要素をネットワークの末端または競合するサードパーティに移し、大規模なプラットフォームの人件費を取り除くことができる。

第三に、既存のプラットフォームは、他の大規模インターネット・プラット フォームに対抗するための効果的な方法として、プロトコルの利用を模索するかもしれない。例えば、Google は、Facebook 形式のソーシャル・ネットワークを構築する試みを何度も試みては断念してきた。43 しかし、Facebook に代わるソーシャル・ネットワークがあるべきだと考え続けるのであれば、オープン・プロトコルに基づくシステムを提供することの魅力を認識するかもしれない。 事実上、独自のプロプライエタリなソリューションを構築することができそうにないことを認識すれば、オープン・プロトコル・システムを提供することは、せめてFacebookの立場を切り崩すためだけであれば、魅力的な案となるだろう。

最後に、トークン/暗号通貨のアプローチが、成功したプロトコルをサポートする方法として機能することが示されれば、これらのサービスを中央集権的で管理されたプラットフォームとしてではなく、プロトコルとして構築することの方が価値が高いかもしれない。

フィルターバブル問題の悪化

このやり方は、ネット上の悪質なコンテンツに関する問題をさらに悪化させるという意見もある。単なる荒らしであれ、恐ろしいネオナチであれ、悪質な人間が自分の意見を言うことを許すのは問題だという主張だ。さらに一歩踏み込んで、競合するサービスを認めることで、ネット上の掃き溜めのような地域ができ、そこでは悪質な人間が妨げられることなく集まり続けるという主張もある。

私はこの危惧に共感するあ、これはどう考えても不可避ではないように思える。この不満に対する一つのポイントは、すでに様々なソーシャルネットワークにそのような人々がはびこっており、今のところ彼らの排除に成功していないということだ。しかし、より重要な点は、彼らのコンテンツがプロトコル上で最も広く使われているサービスに入り込む可能性が低くなり、ある程度は隔離される可能性が高いことだ。 つまり、彼らは自分たちの暗部で邪悪になることはできても、インターネットの他の部分に拡大させたり、(重要なことだが)他の人を探し出して勧誘したりする能力は著しく制限されることになる。

Facebook や Twitter のようなサイトから追放された後、インターネットの隅に集まることを余儀なくされた場合、そのようなユーザーだけを対象にした代替サービスは、スケールアップしたり成長したりすることに特に成功していない。 クレイジーなアイデアを持つ人々は常に存在するが、彼らがクレイジーであるための狭いスペースを許可することは、全プラットフォームから常に彼らを追い出さなければならないよりも、インターネット全体を守ることになるかもしれない。

好ましくない問題のあるコンテンツへの対応

この問題の重要な前提は、ここで頭痛の種となっている「好ましくない」コンテンツの多くは、「白か黒か」ではなく、広範な「グレー」の範囲にあるということだ。しかし、法に抵触するような、中間ではない、明らかに「黒」とみなされるコンテンツも同様に存在する。児童ポルノ、リベンジポルノ、ストーカー行為、晒し行為、その他の犯罪行為のようなものをめぐるコミュニティが、この仕組みによって形成を許す懸念は妥当なものだ。

もちろん、現実にはこの種のコミュニティはすでに形成されており、多くの場合ダークウェブ上に存在する。 そして今日、このようなコミュニティに対処する方法は、そのほとんどが法執行機関(そして時には調査報道)を通じて行われている。 プロトコルの世界でも同様だろう。この問題が現在のものと大きく異なる理由はほとんどない。

また、オープン・プロトコルのシステムであれば、実際に透明性が高まり、(ヘイトグループや法執行機関を監視する市民団体などの)一部は、それらのスペースを監視するエージェントを構築・配備し、より直接的な監視を必要とする特に悪質なコメントの通知を発することさえできるようになるだろう。 ストーカー被害に遭っている人が、ストーカーを直接追跡するのではなく、デジタル・エージェントを使用して、より広範なプロトコルのセットをスキャンし、懸念を示唆するコンテンツがあるかどうかを判断し、警察やその他の関連する連絡先に直接警告を発することができるかもしれない。

移行がどのように行われるかとその実例

上述したように、これには様々な展開が考えられる。既存のサービスは、中央集権的なプラットフォームであることの負担が大きすぎることに気づき、代替モデルを模索するかもしれない。

あるいは、これを可能にする新たなプロトコルが作られるかもしれない。 すでに様々なレベルで多くの試みが行われている。 IPFS(InterPlanetary File System)やその関連サービスであるFilecoinのようなサービスは、そのプロトコルと通貨に基づいて構築された一連の分散型サービスの基盤とインフラをすでに構築している。44 WWW の発明者であるティム・バーナーズ=リーは、より分散型のインターネットを実現するのに役立つ Solid と呼ばれるシステムに取り組んできた。45 他に、Indieweb などのプロジェクトは、プラットフォームではなくプロトコルの未来の世界に貢献できる多くの部分を構築するために人々を集めてきた。46

いずれにせよ、あるプロトコルが制定され、普及し始めたとしたら、次のようなことが予想される。同じプロトコルで複数の実装/サービスが提供され、ユーザーは一つのサービスに限定されるのではなく、どのサービスを使うかを選択できるようになる。また、セキュアなデータ・ストレージ/データ・ストアに関わる新たなビジネスが台頭することも予想される。特により良いユーザー体験のサービス構築の競争が激化するだろう。

結論

この半世紀、ネットワークコンピューティングは、クライアントサイドとサーバーサイドの間で振り子のように揺れ動いてきた。 メインフレームと単純な端末だったものが、高性能なデスクトップコンピュータ、そしてウェブアプリやクラウドへ移行した。 おそらく、この分野でも同様な揺り動きが見られるだろう。我々は、プロトコルが支配する世界から、中央集権的なプラットフォームがすべてを支配する世界への移行を経験した。そこから更にプロトコルが支配する世界へ戻れば、言論の自由やオンライン上のイノベーションに多大な恩恵をもたらすだろう。

このような動きは、ウェブの初期の約束に立ち戻る可能性を秘めている。つまり、同じ志を持つ人々が世界中の様々なトピックでつながり、誰もが様々な異なるテーマについて有益な情報を発見できる場所を作り。その居場所は悪意や偽情報によって汚染されことはないということだ。 同時に、インターネット上での競争とイノベーションの拡大を可能にすると同時に、エンドユーザーが自身のデータをよりコントロールできるようにし、巨大企業が特定のユーザーについて多くのデータを持つことを防ぐこともできる。

プラットフォームではなくプロトコルに移行することは、21世紀の言論の自由のためのアプローチである。個々のプラットフォーム内の「アイデアの市場」に依存するのではなく(悪意のある人々によって乗っ取られる可能性がある)、プロトコルは、悪意のある人々の発言能力を完全に遮断することなく、悪意のある人々の影響を最小限に抑えるより良いサービスを提供するために競争が起こる、理想の市場につながる可能性がある。

それは急進的な変化を意味するが、真剣に検討されるべきものである。


    1. Zachary Laub, Hate Speech on Social Media: Global Comparisons, Council on Foreign Rel. (Jun. 7, 2019), https://www.cfr.org/backgrounder/hate-speech-social-media-global-comparisons
     ↩︎
    1. Tony Romm, Republicans Accused Facebook, Google and Twitter of Bias. Democrats Called the Hearing ‘Dumb.’, Wash. Post (Jul. 17, 2018), https://www.washingtonpost.com/technology/2018/07/17/republicans-accused-facebook-google-twitter-bias-democrats-called-hearing-dumb/?utm_term=.895b34499816
     ↩︎
    1. A Conversation with Mark Warner: Russia, Facebook and the Trump Campaign, Radio IQ|WVTF Music (Apr. 6, 2018), https://www.wvtf.org/post/conversation-mark-warner-russia-facebook-and-trump-campaign#stream/0 (Statement of Sen. Mark Warner (D-Va.):「私は2016年12月に初めてフェイスブックといくつかのソーシャルメディア・プラットフォームを訴えた。 最初の6ヶ月間、各社はこれらの疑惑をただ受け流すだけだったが、これらは真実であることが証明された。ロシアが偽アカウントを使ってソーシャルメディア・プラットフォームを利用し、偽情報を拡散させ、プラットフォーム上で政治的広告に金を払ったのだ。 フェイスブックはこれらの戦術はもはや許されない、つまりこの会社をサイトから追い出したと言っているが、私は彼らが説明すべきことがたくさんあると思う。」
     ↩︎
  1. Nicholas Confessore & Matthew Rosenberg, Facebook Fallout Ruptures Democrats’ Long-time Alliance with Silicon Valley, N.Y. Times (Nov. 17, 2018), https://www.nytimes.com/2018/11/17/technology/facebook-democrats-congress.html(ジョン・テスター上院議員(モント州選出)の発言を参照:)上院民主党の選挙対策本部長を退任したテスター氏は、フェイスブックのようなソーシャルメディア企業を見て、2018年の選挙で党を犠牲にする可能性のあるプロパガンダ・プラットフォームを見たと、2人の議会側近は述べている。 ロシア工作員がトランプ氏の当選に貢献したような偽情報キャンペーンを行った場合、彼はシューマー氏に、“我々はすべての議席を失うだろう “と語った」). ↩︎

  2. 5.Julia Carrie Wong, #Break Up Big Tech: Elizabeth Warren Says Facebook Just Proved Her Point, The Guardian (Mar. 11, 2019), https://www.theguardian.com/us-news/2019/mar/11/elizabeth-warren-facebook-ads-break-up-big-tech (Statement of Sen. Elizabeth Warren (D-Mass.)) (「なぜFBが力を持ちすぎていると思うのか気になる? FBが力を持ちすぎているかどうかをめぐる議論をシャットダウンする彼らの能力から始めよう。 私の投稿を復旧してくれてありがとう。 しかし、私は単一の検閲者に支配されないソーシャルメディア市場を望んでいる。#BreakUpBigTech.”). ↩︎

  3. Jessica Guynn, Ted Cruz Threatens to Regulate Facebook, Google and Twitter Over Charges of Anti-Conservative Bias, USA Today (Apr 10, 2019), https://www.usatoday.com/story/news/2019/04/10/ted-cruz-threatens-regulate-facebook-twitter-over-alleged-bias/3423095002/ (Statement of Sen.Ted Cruz (R-Tex.)) (「政治的検閲の脅威を非常に問題にしているのは、透明性の欠如、目に見えないこと、一握りの巨大テック企業が特定の発言者が不利かどうかを決定できることである」) ↩︎

  4. Press Release, Louie Gohmert, U.S. Congressman, Gohmert Introduces Bill That Removes Liability Protections for Social Media Companies That Use Algorithms to Hide, Promote, or Filter User Content (Dec. 20, 2018) (Louie Gohmert (R-Tex) による: “これらの企業の一部の従業員は、保守派に対する嫌悪感を伝え、ソーシャルメディアプラットフォームやアルゴリズムを使って保守派を黙らせ、収入を妨げる方法を議論してきた。”) ↩︎

  5. April Glaser, Want a Terrible Job? Facebook and Google May Be Hiring,Slate (Jan. 18, 2018), https://slate.com/technology/2018/01/facebook-and-google-are-building-an-army-of-content-moderators-for-2018.html (大手プラットフォームが数千人、場合によっては1万人以上の新しいコンテンツモデレーターを雇用しているか、雇用する計画を発表していると説明している). ↩︎

  6. Tom Simonite, AI Has Started Cleaning Up Facebook, But Can It Finish?Wired (Dec. 18, 2018)、https://www.wired.com/story/ai-has-started-cleaning-facebook-can-it-finish/ ↩︎

  7. Gohmert Press Release, supra note 7(「ソーシャルメディア企業は、1934年通信法230条の下で、他のメディアにはない特別な法的保護を享受している。このような不愉快な行動を止めようとする真摯な努力はまだ見られないようなので、ソーシャルメディア企業は、他のメディア企業と同様に、従業員の偏った非倫理的な不適切行為に対して責任を負うべき時である。これらの企業が偏ったメディアのように振る舞い続け、他者の不利益になるような自分たちの思惑を公表したいのであれば、責任を負う必要がある」); Eric Johnson, Silicon Valley’s Self-Regulating Days “Probably Should Be” Over, Nancy Pelosi Says, Vox (Apr. 11, 2019), https://www.recode.net/podcasts/2019/4/11/18306834/nancy-pelosi-speaker-house-tech-regulation-antitrust-230-immunity-kara-swisher-decode-podcast (statement of House Speaker Nancy Pelosi (D-Cal)) (「230は彼らにとって贈り物であり、彼らがそれをあるべき敬意を持って扱っているとは思わない。..230の特権のためには、より大きな責任感が必要であり、撤廃される可能性もなくはない」)。 ↩︎

  8. Robert Burnson, Twitter Beats Censorship Lawsuit By Banned White Nationalist, Bloomberg (Aug. 23, 2018), https://www.bloomberg.com/news/articles/2018-08-24/twitter-beats-censorship-lawsuit-by-banned-white-advocate (自称「白人擁護者」のジャレッド・テイラーは、ツイッターから削除されるのは権利侵害だと主張したが、カリフォルニア州の控訴裁判所はその主張を退けた)。 ↩︎

  9. 例えば、グーグルのGmailサービスはSMTPやIMAPのようなオープンな電子メールプロトコルをベースにしているが、その上に追加機能を構築している。フェイスブックは、WhatsappやFacebook Messengerサービスのエンドツーエンドの暗号化にSignalプロトコルを使用している。 これは、プラットフォームとプロトコルのどちらか一方を選ぶのではなく、むしろ多様であることを強調している。 しかし、ここで示す議論は、プラットフォームではなく、オープンなプロトコルの世界にもっと移行する必要があるということだ。 ↩︎

  10. Alex Hern, How Social Media Filter Bubbles and Algorithms Influence the Election, The Guardian (May 22, 2017), https://www.theguardian.com/technology/2017/may/22/social-media-election-facebook-filter-bubbles ↩︎

  11. Everybody Wants to Rule the World, The Economist (Nov. 27, 2014), https://www.economist.com/briefing/2014/11/27/everybody-wants-to-rule-the-world ↩︎

  12. About Usenet: Information About Usenet and Usenet.nl, Usenet.il, https://en.usenet.nl/usenet/ についての情報; The Conversation Starts Here, Reddit, https://www.redditinc.com. ニュースグループやサブレディットには、さまざまなルールを設定する権限を持つモデレーターがいる傾向があった。ユーザーは各グループ内で新しい投稿を投稿することができ、グループ内の他のユーザーからのスレッド式の返信につながり、これにより議論の様な流れが形成された。 ↩︎

  13. Michelle Delio, Google Buys Deja Archive, Wired (Feb 12, 2001), https://www.wired.com/2001/02/google-buys-deja-archive/ ↩︎

  14. Eternal September, Tv Tropes, https://tvtropes.org/pmwiki/pmwiki.php/Main/EternalSeptember(1993年、AOLは当時ネットの主流だったフォーラム、Usenet をすべての顧客に開放し、Usenet は蹂躙された。比較的少数の新参者を取り込むのにうまく機能していた社会構造は、新参者が古参者を圧倒的に上回る世界では効果がなかった。さらに悪いことに、順応したり、追い払われたりした元新参物より更に多くの新参者たちが即座にその場を支配したのだった。これが世に言う「永遠の9月」である。古参者たちは消え去り、より大きなインターネット全体の中で、よりマイナーなネット社会を形成している。) ↩︎

  15. キルファイル、専門用語ファイル http://catb.org/jargon/html/K/kill-file.html(一部のユースネット閲覧プログラム(もともとは Larry Wall の rn(1))が、件名、著者、その他のヘッダー行の特に面白くない(または不要な)パターンに一致する記事を(閲覧のために提示することなく)即座に破棄するために使用するユーザーごとのファイル。 したがって、ある人物(または件名)を自分のキルファイルに追加することは、その人物が今後自分のニュースリーダーによって無視されるように手配することである。) ↩︎

  16. Moderated Newspaper、Archive.Today https://archive.is/20120804234307/http:/www.big-8.org/wiki/Moderated_Newsgroups%23Who_can_force_the_moderators_to_obey_the_group_charter.3F ↩︎

  17. Mike Isaac & Cecilia Kang, Facebook Expects to Be Fined Up to Billion by F.T.C. Over Privacy Issues, N.Y. Times (Apr. 24, 2019), https://www.nytimes.com/2019/04/24/technology/facebook-ftc-fine-privacy.html↩︎

  18. Emily Bell, Facebook Moderation Is of Public Interest. It Should Be Public Knowledge, Colum. Journalism Rev. (May 23, 2017), https://www.cjr.org/tow_center/facebook-moderation-guardian.php ↩︎

  19. Veronica Rocha, Brian Ries & Amanda Willis, Mark Zuckerberg Testifies Before Congress, CNN (Apr. 11, 2018), https://www.cnn.com/politics/live-news/mark-zuckerberg-testifies-congress/index.html ↩︎

  20. Tony Romm, Republicans Accused Facebook, Google and Twitter of Bias. Democrats Called the Hearing ‘Dumb.’, Wash. Post (Jul. 17, 2018), https://www.washingtonpost.com/technology/2018/07/17/republicans-accused-facebook-google-twitter-bias-democrats-called-hearing-dumb/?utm_term=.895b34499816 ↩︎

  21. Email Protocols - POP3, SMTP and IMAP Tutorial, Siteground, https://www.siteground.com/tutorials/email/protocols-pop3-smtp-imap/ ↩︎

  22. 電子メールクライアントの比較、ウィキペディア、https://en.wikipedia.org/wiki/Comparison_of_email_clients ↩︎

  23. 初期のヤフー買収(1990年代), SEO by the Sea, http://www.seobythesea.com/2006/01/early-yahoo-acquisitions-the-1990s/;Google + Email = Gmail, CNN Money (Apr. 1, 2004), https://money.cnn.com/2004/04/01/technology/google_email/ ↩︎

  24. Check Emails From Other Accounts, Gmail Help, https://support.google.com/mail/answer/21289?co=GENIE.Platform%3DDesktop&hl=en(Gmail 以外のアドレスを Gmail のインターフェイスで使用する方法として、Gmail fetcher のセットアップを提供している) ↩︎

  25. Brady Gavin, The Best Chrome Extensions for Making Gmail Better, How-To-Geek (Feb. 27, 2019), https://www.howtogeek.com/402035/the-best-chrome-extensions-for-making-gmail-better/ (複数の電子メール実装にまたがって機能する、今日の電子メールシステム用のアドオンの数の例を示す) ↩︎

  26. Rahul Biswal, Top 10 Best Free Email Service Providers 2019, Ecloudbuzz (Dec. 31, 2018), https://www.ecloudbuzz.com/best-free-email-service-providers/ (Google、Microsoft、AOL、Yahooのような認知度の高い大企業から新興企業まで、人気の高いメールサービスのリストを掲載) ↩︎

  27. Christina Warren, Twitter’s API Update Cuts Off Oxygen to Third-Party Clients, Mashable (Aug. 16, 2012), https://mashable.com/2012/08/16/twitter-api-big-changes/ ↩︎

  28. Amy Gesenhues, Facebook Cuts Off Access to API Platform for ‘Hundreds of Thousands’ of Inactive Apps, Marketing Land (Aug. 1, 2018), https://marketingland.com/facebook-cuts-off-access-to-api-platform-for-hundreds-of-thousands-of-inactive-apps-245265 ↩︎

  29. 後で送信するメールをスケジュール、Easy Email Reminders、Boomerang For Gmail、https://www.boomeranggmail.com。 ↩︎

  30. Nick Hopkins, Revealed: Facebook’s Internal Rulebook on Sex, Terrorism and Violence, The Guardian (May 21, 2017), https://www.theguardian.com/news/2017/may/21/revealed-facebook-internal-rulebook-sex-terrorism-violence↩︎

  31. Parker Molloy, By Not Banning Alex Jones, Twitter is Making a Political Choice, The Verge (Aug 8, 2018), https://www.theverge.com/2018/8/8/17662140/twitter-infowars-alex-jones-apple-facebook-spotify-pinterest-ban (Explaining the Twitter received the criticism for waiting long after most other internet platforms in removing the account of conspiracy theoryist Alex Jones) ↩︎

  32. Sam Levin, Julia Carrie Wong & Luke Harding, Facebook Backs Down From ‘Napalm Girl’ Censorship and Reinstates Photo, The Guardian (Sep.9, 2016)、https://www.theguardian.com/technology/2016/sep/09/facebook-reinstates-napalm-girl-photo.Multiple ↩︎

  33. Eli Rosenberg, Facebook Wants to Cut Down on Misinformation. So Why Isn’t It Doing Anything About Infowars?,Wash. Post (Jul. 14, 2018), https://www.washingtonpost.com/news/the-intersect/wp/2018/07/14/facebook-wants-to-cut-down-on-misinformation-so-why-isnt-it-doing-anything-about-infowars/?utm_term=.eacf34e87542↩︎

  34. TwitterのAPIについて、Twitterヘルプセンター、https://help.twitter.com/en/rules-and-policies/twitter-api。 ↩︎

  35. Jon Brodkin, Tech Giants, Chastened by Heartbleed, Finally Agree to Fund OpenSSL, Ars Technica (Apr. 24, 2014), https://arstechnica.com/information-technology/2014/04/tech-giants-chastened-by-heartbleed-finally-agree-to-fund-openssl/ (“The open source cryptographic software library secures hundreds of thousands of Web servers and many products sold by multi-billion-dollar companies, but it operates on a shoestring budget.OpenSSLソフトウェア財団のスティーブ・マーケス会長は先週のブログ投稿で、OpenSSLは通常、年間2,000ドル程度の寄付を受けており、オープンソース・コードにフルタイムで携わる従業員はわずか1人であると述べている) ↩︎

  36. The Guardian (Mar. 7, 2016), https://www.theguardian.com/technology/2016/mar/07/email-ray-tomlinson-history.Eventually ↩︎

  37. Tom Simonite, The Decentralized Internet Is Here with Some Glitches, Wired (Mar. 5, 2018), https://www.wired.com/story/the-decentralized-internet-is-here-with-some-glitches/ ↩︎

  38. Yoav Vilner, Cryptocurrency Exchanges Are Getting Better in User Experience and Liquidity, Forbes (Jul. 14, 2018), https://www.forbes.com/sites/yoavvilner/2018/07/14/cryptocurrency-exchanges-are-getting-better-in-user-experience-and-liquidity/#20d5744b37f3↩︎

  39. Anita Balakrishnan, Facebook Pledges to Double Its 10,000-person Safety and Security Staff by End of 2018, CNBC(2017年10月31日), https://www.cnbc.com/2017/10/31/facebook-senate-testimony-doubling-security-group-to-20000-in-2018.html ↩︎

  40. Claire Cain Miller, Another Try by Google to Take on Facebook, N.Y. Times (Jun. 28, 2011), https://www.nytimes.com/2011/06/29/technology/29google.html ↩︎

  41. Go-Filecoin 0.2.2 is Released, Filecoin (May 17, 2019), https://filecoin.io/blog/go-filecoin-0.2.2-release/ ↩︎

  42. Solidの進化、Solid, https://solid.inrupt.com/about ↩︎

  43. IndieWebとは?,IndieWebcamp, https://indieweb.org/↩︎